秋の終わりか、冬のはじまり
「秋の終わりか、冬のはじまり」
北海道に移り住んで19年が経ち、冬の暮らしにも慣れてきた。
それでも10月や11月の初雪が降るか降らないかという季節はいつも
ちょっとドキドキする。
鈍色の日々が始まる憂鬱と、まばゆいばかりの白い世界が広がるという期待。
町を歩けば冬の備えの様子が見えたりもする。
北に暮らす人たちのあきらめに似た表情や、たくましさ。
身に染み入る寒さと、窓明かりの温かさ。
せつないような、ほっとするような。
いろんな対比がまぜこぜになる季節の狭間。
真冬でもなく、真夏でもなく、満開の花はなく、色鮮やかな紅葉があるわけでもない。
そんな中途半端な頃合いだからこそ、光が淡い輝きを放ち出す。
それらの美しさに感じ入る心があれば、世界は平和になるんじゃないかと思うのです。